まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、なろうさんで毎回みてくださっている方々、ありがとうございますv
最近、日々の閲覧者が増えてきているのにちょっとびっくり(汗
話数がある程度すすんで物語もラストにちかづいてきたからかなぁ?
ともあれ、みなさんに感謝です!
さて、今回も頑張っていくのです!
さて…いつもの容量でどこまですすめるかな?ううむ……

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いったい何がおこった、というのだろうか。
常に誰かの念を取り込んでいた。
この世界は、念にあふれているので取り込みにはさほど問題はなかった。
しかし、自分達を視れるものと視れないもの、人間達は霊感、とかよんでいたが。
かつて自分達もまた人であったはず。
しかしその心はすでになきにも等しい。
かろうじて少しばかりのこっている自我において、ひたすらに他の念を取り込み巨大化していっていた。
自分の気に充てられて、気がくるったり、もしくは人生を狂わせたりする人々をみるのが面白かった。
動物などにいたってはどうやら自分が視えているようではあったが。
どれだけ長い年月をどこともなく存在していたのかすら覚えていない。
気がつけば、存在していた、という感覚。
しかし、今現在、視界というか感じる光景はいったいぜんたいどうなったというのであろう。
大地は裂け狂い、いたるところにてマグマが噴き出し、空にはゆらゆらと光のナニかがかかっている。
『あなた、という存在をこのまま消し去りますか?それとも、新たな生を望みますか?』
ふと聞こえてきたとある声。
声はすれども姿はみえず。
だけども、なぜか判る。
この声は、この【大地】といわず『星』より発せられている、と。
このまま消える?
自分が?
…まだ楽しみ足りないのに?
……我は……
『あなたという存在は、ここにいきた生物達のいわば心の証。
  再びこのような惨劇にならないためにも、あなたの望みをかなえましょう』
その瞬間。
我の意識は、深い、深い暗闇にと呑みこまれてゆく。

…次に目覚めたとき、自らの体が実体化している、ということに驚くことなど今はまだ知るよしもない……

光と闇の楔 ~伝道師サクラによる状況説明?~

「えええええ!?」
というか、何、その報告!?
思わず突っ込みをいれたくなってしまうのは仕方がない。
絶対に。
「どういうこと!?大姉様!?」
「超新星が爆発して、ガンマ線バーストが大量に発生してるみたいなのよ。
  それらをどうにかこちらの『力』で緩和するのが精いっぱいなの。
  なのであなた達個々の力に任せるしかないのよ」
下手をすれば自分の体にも影響がでるほどの、巨大な力。
「…最近、不安定になってきてない?空間の動き?」
ここ最近、そのようなことがたびたびおこっている。
まだ自分達のこの区域は若い分野にはいるのはわかっているが、
それでも、この連続しておこる、恒星や超新星などの爆発はただ事ではないとおもう。
「ここのマァト様が言われるには、主体となる代替わりがそろそろ近いのでは、ということみたいよ……」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え゛?』
誕生したときに、その概念は自然とその身にきざまれている。
正確にいうならば、自分達の体を恒星している全ての物質の一つ一つにその情報が組み込まれていた。
ゆえに、その報告をうけて固まるしかない【意思】達の姿。
どちらにしても、意思であるカレラにできること。
ただ、時が過ぎ去り、経過を見守るしかない、のだから……

「……おもえば、あれが全てのきっかけのような気がするわ……」
目の前にこれでもか、と広がっている襲撃者もとい、偵察隊と思われる物体の数々。
「何回想にひたってるのよ!三の姉様!」
「おおかた、以前の器誕生によりおこったことを思い出しているんでしょ?
  まだ、三の姉のところはいいわよっ!あれのせいでうちの生物はことごとく死に絶えたしっ!」
あの当時。
一つの隕石だけが飛んできたのではない。
流星群のごとくに、ここ太陽系に隕石は降り注いだ。
それはもう、有無をいわさず。
当時、とある生物が徘徊していた三の惑星はいうまでもなく、
他の惑星においてもそれなりに文明や生命体は発展をとげていた。
しかし、その出来事をきっかけにして…他の惑星においてめまぐるしい生命体の進化と発展は見られなくなった。
それほどまでに、流星群として降り注いだ隕石群の被害は惑星そのものの環境すらをも変化させた。
まだ、三つの隕石のみが降り注いだ第三惑星はまだましであった、としかいいいようがない。
外惑星達がその身をもってして、またそれらの惑星にいた文明がどうにか流星群を破壊しようとし、
極力被害は最小限にと食い止められたかつての出来事。
しかし、最小限、といえども完全に防ぐことはできなかった。
通常ならばそれくらいの流星群はこの太陽系内に入ってくるまでに撃退することが可能であった。
しかし、その直前。
宇宙空間全てを襲った時空震。
惑星を構成している物質そのものに影響を及ぼし、惑星としての器を保つことに必死となっていた。
その矢先の出来事。
それだけならまだしも、その直後に正体不明な侵略者にこの地は襲撃をうけた。
後からそれは、器を探す世界に反旗を翻し、混沌へと還りゆく目的をした輩の仕業だった。
とはわかったが。
「ふたりとも!昔のことをなつかしんでないで、今はとにかく、この偵察隊を撃退するのが先でしょ!
  こいつら、ほっといたら、確実に全てを無に還そうとしはじめるわよっ!」
彼らの特性に、自分達の体をもってして、その体当たりしたものを無に還すという性質がある。
これがまた厄介な代物で、どうにかあがけたとしても、かなり力をそがれるのは必然。
力がなければ、そのままその自爆に巻き込まれ、体当たりされた存在は文字通り消滅してしまう。
全ての存在を原初たる無の世界へ。
それらが彼らの究極の目的、ときいている。
しかし、どうにか必死で生きようとしている輩にとってはそれは迷惑きわまりない。
たしかに、今は感傷に浸っている場合ではない。
「…ああもうっ!面倒!かといって大姉様が一気に力を解放したら私たちにまでとばっちりがくるしっ!」
当時、あまりにしつこい彼らを撃退するために、大姉であるこの星系の要ともいえる太陽。
その力を解放しそれらを撃退できたはいいものの、その熱と力の余波により、
太陽を取り巻く全ての惑星においてさらなる被害が発生し、一つの惑星などは完全に干上がってしまった。
それまでいくつかあった小さな惑星群などもそのときの余波により奇麗に燃え尽きた。
ゆえに、あまり無理はいえないのはわかっている。
わかっているが文句の一つもいいたくなってしまうのは仕方がない。
「仕方ないでしょ。私たち十惑星の意思でどうにかしないと」
とりあえず小競り合いは小惑星群の意思達にと任せている。
自分達にできること。
今は、ただ、ここ、太陽系の外より侵入してこようとしている輩のすなわち、撃退と駆除。
一つでも撃退しそこねて、こちらの情報が相手につたわるようなことになれば、
ここは確実に全ての銀河を巻き込んだ戦乱の地と化すであろう。
それだけは何としても避けねばならない。
だからこそ。
「わかってるわよ!そもそも、何でいつも三番目の私のところにくるわけ!?
  他の姉様のところでもいいとおもうのにっ!」
「それは仕方ないでしょ。今この地において、三番目のあなたのところが一番生命力豊か、なんだから」
さくり、と一番目の姉よりそうきっぱりいわれれば三の意思である彼女とてそれ以上文句のいいようがない。
「でも、わざわざこんな小さな恒星群にこなくてもいいでしょうにね~」
『…十の意思。それは誰もがおもってるってば……』
すでに、三の惑星に『次代』がやってきていることは伝えてある。
ゆえにこそ、一致団結して偵察隊の駆除を行っている、十の意思達。
十の意思。
それは、この太陽系を中心としたそこそこの力をもつ、惑星達の意思――


「え…ええと……」
説明してください。
といってくる人物の表情はとても真剣そのもの。
しかし、しかしである。
どこまで話していいのかがわからない。
そもそも、どうしてこの惑星の意思が生徒なんかになっているのかも理解不能。
「ですから、私のクラスの生徒である、ディアさんとあなたの関係と。
  それと、あのやってきた美青年と美少女の関係。それと!一体何がおこってるんですか!?
  ディアさんのあの力は、いくら言霊使い、とはいえ普通では考えられないのですけど?」
大概の力は言霊使いであるからこそ理解ができた。
しかし、しかしである。
ただの一言のみで自分、ましてやあの場にいた全ての存在を移動させる力など、絶対にありえない。
物事には絶対、ということはありえないのはわかっている。
しかし、人一人が持ちえる力ではないとそれだけは確信をもっていえる。
「え。ええと。とりあえず落ち着いてください。えっと…たしか、あなたは。
  総合科C組A担任教師、ヘスティア=アルクメーネさん、ですよね?」
彼女、サクラの知識では、淡い金色の髪と緑の瞳をしている見た目二十代にみえるが、
その実、軽くゆうに百歳を超えている獣人族に属するギルド協会に所属している教師の一人。
彼女の得意とするものは担当している学科からも判断できるとおり、総合職に関係するもの。
ギルドの中には、様々な知識などを統合した総合ギルド、というものも存在し、
またそこに所属している存在は数多のギルドにおける定義や知識、そして実力を有する必要がある。
どうやら話しを総合するに、意思のことは【言霊使い】と勘違いをしているらしい。
視た限り、意思もまた、彼女に自分の正体は話してはいない模様。
ならばここで自分が彼女の正体を話す必要はまったくない。
とはいえ説明を何もせずにおく、というわけにもいかないであろう。
それゆえに。
「とりあえず、自己紹介をさせていただきます。私はサクラ=フラクトル。
  とりあえず、天界と魔界における技術担当を担っています伝道師の一人です」
『で…!?』
伝道師。
その言葉をきき、その場にいたヘスティアだけでなく、ざわついていた兵士達も驚愕の声をもらす。
それはそうであろう。
彼らにとって伝道師、とはまさに神にも等しい存在、としてあがめられている存在達。
いきなり、自分は伝道師です、といわれて驚かないはずがない。
そんな彼らの動揺をさらっと無視し、
「先ほどやってこられたのは、つい先日より問題になっていました、
  ロキ神当人と、その娘であるヘルさんです。どうやら自らの魂の欠片が勝手にばらまかれたのをうけて、
  当人自らが出向いてこれらたみたいですけど」
ロキの魂と肉体が分離し、眠りについていたなど知るものはごくわずか。
というか、地上界においてその事実をしるものはまずいない。
ゆえにそこまで説明する必要性はない。
この場にクロノスより説明をうけた代表者がいれば詳しく説明する必要もでてくるであろうが、
すくなくとも、この場にいるのは、詳しく内容を聞かされていない存在達ばかり。
「私とあの御方の関係は、そうですね。昔なじみ、です。
  いつもいきなり呼び出されたりするんですけどね。まあ別にいいんですけど。
  あの御方はかなり様々な方面に顔が利きますし。その関係でロキ神とかとも知り合いですし」
正確にいえば、ロキなどを生み出したのもまた【意思】なのだが。
それをこの場で言う必要性はさらさらない。
「それと、こちらの美希様ですけど。どうやら、別の惑星。
  まあ、簡単にいえば異世界よりどうやらこの世界に迷い込んでこられたみたいなんですよ。
  ちなみに、どうして私と言葉が通じているのか、あの御方と会話が通じていたのか。
  という点においては、この世界にもかつて、この美希様がつかわれている言語が存在していたからです。
  私たち、伝道師の中にもその言語を扱っていた種族のものがいますし。
  大異変…今でいう神話創世期、でしたっけ?とにかくそれ以前の文明の言葉です。
  このかたがやってきた異世界にもどうやら同じ言語の文明があったらしく、それで言葉がつうじているんですよ」
とりあえず、相手からいろいろと質問をされるまえに一気にすばやく説明する。
一気にいろいろということにより、相手からの質問や疑念をまったくもって受け付けない、という方法。
それは完全に意図的に計算され、それゆえに一気に説明しているのだが。
しかし、説明されたほうとしては、余計にさらなる混乱をましてゆく。
神話創世期より前の文明だの何だの、というのはまあ、伝道師…という言葉がでてきた時点でわからなくはない。
しかし、天界と魔界の技術担当!?
しかも伝道師!?
さらに異世界!?
何やら混乱するような言葉ばかりが出てきているような気がするのは、ヘスティア達の気のせいか。
さらにいえば、顔が広い…とはいっていたが、そもそも、神々と顔見知り?!
いや、でも、魔界の大侯爵とすら顔見知り…しかも、完全に視た限り、相手はディアに敬意を示している。
それを考えれば考えるほどわけがわからなくなってくる。
と。
「あ~。サクラ様だ~。お久しぶりです~」
ふわり。
突如としてその場における一角が光り輝き、
次の瞬間、大地より湧き出るかのように小さな少女が姿を現す。
その姿は薄い蝶のような羽をもっており、くりっとした丸い瞳がとても印象深い。
見た目は二歳か三歳くらいにしか視えない幼い少女。
しかし、その姿は淡く光輝いており、その少女が普通の人ではない、というのを物語っている。
そもそも、その背に羽が生えていることからして、普通の人族ではない、というのは明白なのだが。
「あら?ティミじゃない。久しぶり。って姿を現したってことは、頼まれたの?」
可能性として、意思に頼まれたという理由がしっくりくる。
本来、彼女のような守護精霊達は滅多に人前に姿を現すことはさらさらない。
「ティ…!?」
ティミ、と今、この伝道師、となのったサクラ、という人物は呼ばなかったであろうか。
ティミとは、ここ、王都テミスを守護している守護精霊の名前では!?
さきほどから何だか信じがたい言葉ばかりきいているのでさらに思考が混乱してゆく。
「守護精霊たるもの。私の役目は役目ですし。
  あ、はじめまして。私、ここの国の守護をしています精霊、ティミと申します。
  お目にかかれて光栄です。とりあえずお母様にも頼まれましたので、
  ひとまず安全な場所、寮へと案内いたしますね。
  とりあえず、部屋でゆっくりと落ち着いてもらったほうがいいだろう、との意見ですので」
【外】に意識を向ける前に、ティミにそのように伝言をことづけていたディア。
「…よ…妖精!?」
まるで物語にでてくるかのごとくに光かがやく虹色の羽。
思わずその姿をみて目を丸くして叫んでいる美希。
「妖精、でなくて、私は精霊、ですけどね。でも日本語、ですかぁ。
  尚人様達がよくその言語で話されていますよね」
しみじみとそうつぶやくティミの言葉に、
「いや、ティミ。それは美希様にいっても通じないとおもうぞ?」
思わず突っ込みをいれているサクラ。
確かに、尚人、といってもおそらく美希にはわからない。
というかわかったほうがすごいとしかいいようがない。
「しかし、寮?」
「はい。そこが今のところ一番安全とのことです。まあ、今からここの外では、
  ロキ様達の攻撃が本格的に始まるでしょうし。
  たしかにどこかの建物の中にはいっていたほうが正解ではあるとおもいますよ?」
いくらティミとて、本気をだしたアスタロトやロキ達の力を防げるはずもない。
この地には、ディアによる不可視の結界が張られているがゆえにここを利用することを了解したディア。
しかし、守護をまかされている立場のティンとしては、その決定は寝耳に水。
とりあえず、今優先すべきなのは、なぜかこの地にやってきたという次代の保護。
「いや、私が聞きたいのは、寮、とは?」
「え?ああ、そこまでまだ知ってはおられないのですか?
  えっと。今現在、ギルド寮に入られているのですよ。あの御方達」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何をなさってるんだ?あの御方は?」
おもわず、ぽそっとつぶやくサクラの気持ちはおそらくディアの正体をしっているものが聞けば、
全員が全員、同意するであろう。
「お母様をおって、ヴリトラ様もここに簡易的に滞在されてますしねぇ」
「……ティミ。お前、かなり苦労してないか?」
「あ…あはは。でも、うれしいですよ?だってすぐそばにいられるだけで!」
それは本音。
たしかに気苦労はあるかもしれない。
だけども、いつも感覚でしか感じられない【母なる存在】を常に近くに感じることができる。
これほどうれしいことはない。
「…あ、あの?ヴリトラ?…それって……」
とある神話にでてくるあの邪竜?
ふと気がつけば、サクラ、となのった女性と、精霊、となのった幼女の会話が聞き取れる。
自分にもわかる言葉、すなわち日本語で話しているのだ、と理解したのち、
ふと気になったことを問いかける。
そもそも、ロキにヘル。
それだけでも北欧神話にでてくる神々の名前であったはずなのに。
いったいぜんたいここはどうなっているのかわからない。
「あ…あの?さきほどから、何を会話して…というか、守護精霊様まで……」
あまりに驚いてたのでよくよく確認がしきれなかったが、
たしかに、彼女のしっている守護精霊ティミそのもののようである。
彼女の知っている姿は手の平に乗るほどの小さな姿であったがゆえに、
いきなり現れた二歳くらいの女の子とその情報が結び付かなかった。
少し考えれば、精霊達には姿というか形はあってなきがごとしなので、
どのような姿にも形にもなれる、というのがわかったであろうに。
それほどまでに動揺し混乱している証拠、ともいえる。
「えっと。まあ、簡単にいえば、屋外は危険なので、屋内に入ってください。と守護精霊はいってます」
今の会話の全てを説明する必要性はまったくない。
それゆえに完結に説明し、
「先生達も危険なので、一応、屋内に避難しておいたほうがいいですよ?」
サクラがそういったその矢先。

どおおっん!!

大地を揺るがす轟音が、辺り一帯にと響き渡ってゆく……


「さすが、意思様の簡易結界!暴れてもまったくもって問題がないし!」
久しぶりに体を動かせるのが何となく楽しい。
おもいっきり魔力を全開にして攻撃をしかけても、
首都にかけられし結界はびくともしていないのがみてとれる。
永きにわたり眠りにつき、さらには魂と肉体が別々になっていた。
いまだにまだ少しばかり、魂と肉体がしっくりこないが、しばらく力をつかっていれば自然となじむ。
それゆえに、手加減などするつもりはさらさらない。
ロキの攻撃をうけ、その場にうかんでいた肉の塊もどきは、その体に大きな穴をあけるものの、
じゅぐじゅぐと音をたて、すぐさまその穴は肉によってふさがれてゆく。
「さすがはお父様。私も頑張らないと」
そんな父の姿をみつつも、すっと目の前に無数に出現した様々な生命達の融合体。
そんな体をもった干からびたミイラのような合成獣がヘルの目前にと飛来する。
ふっと手を正面にかかげるヘルの手に握られているのは一冊の本。
「我、今ここに、聖なる裁きをいざなわん」
ヘルが主に使用する武器、それは禁書、ともよばれているとある本。
死霊秘宝、ともよばれることもあるそれは、
あるいみ禁断の書物として三代書物の一つとして名を知られている。
ヘルがそうつぶやいたその刹那。
目の前に浮かぶ数多の合成獣もどきが一瞬のうちにその肉体を崩壊させ、瞬く間にと塵と化し、
さらにその塵もまた粒子ごと消滅し、やがてその姿は全ての源たる素粒子へと変質し、
そのままそれらはヘルのもっている本のほうへと引き寄せられる。
「……ネクロノミコン、か。では、我も久しぶりに力を発揮するとするか」
ヘルが禁断の書とも言われている書物、ネクロノミコンを使っているのならば何の遠慮もいらないであろう。
そもそも、手加減はしなくてもいい、とお墨付きをもらっている。
「久しぶりに、この私を楽しませてもらおうか?ふふ」
ずっと執務ばかりやっていたので暇で暇で仕方がなかった。
なのでわざわざ正体をかくしてこのたびの大会にまで参加していた。
しかし、大会の中にも彼を楽しませるような存在は見当たらなかった。
魔界の実力者であるアスタロトを楽しませるような実力をもっているものなどそうはいない。

「…いったい、何がおこっているんだ?」
轟音のみは聞こえてくる。
だけども、敵の姿があるときを境に奇麗に書き消えた。
そしてまた、対峙していたであろう人物達の姿も。
彼らは気づかない。
その攻撃と行動が彼らの視界に入らないほどに早いがゆえに、姿が消えたように映っている。
というその事実に。
そしてまた、自分達の王国の目の前でとてつもない戦いが繰り広げられている、というその事実に……


                            ――Go To Next

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あとがきもどき:
薫:あいかわらずの、戦闘シーンは基本、オブラートに包んでますv(自覚あり
  次回でロキ達家族の合流、かな?
  しかし、なんか今回はかなり短い……
  戦闘シーンを細かくいれればそれなりにはなるんですけど、
  …グロテスクなんですよね…いや、肉がとびちったり何だの…と(あはは…汗
  ともあれ、次回につづきますv
  ではまた次回にて~♪

2011年4月23日(土)某日

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