まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ついにラスボス!?登場です!
前回でおそらくディアが本当は【何】なのか気づいた人は多いでしょうね。
というか、あ~、やはり薫だな~。とあるいみ納得された人もいるかと(苦笑
さて、ディアが意味ありげにいっていた子猫のみゅ~ちゃん。
あのかわいい子猫にも当然設定はありますよ?ふふふふv
今回は主に美希と子猫とディア達の周囲…になる…かな?
とりあえず打ち込みしてみないとどこまでが20kなのか皆目不明・・・
しかし、ここまできたら、あれ?もしかしてこの設定の参考にされたのって…
とおそらく気づいている人もまた多々といるかと。
基本的に私の場合はあの設定というか昔から特有の設定で脳内ストーリー創ってますし。
小さいころから…
なので某ゲームや某小説などはおもいっきり壺です!
自身の空想に近いものが実際に出た(発売された)時の感激は何ともいえませんよっ!(まて
…でもこの小説には残念ながら守○聖様はいませんよー(苦笑

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ヴォイドの欠片が動いた。
どうやらこのたびはいくつかの場所にて同時にその力を具現化させて実体化しているらしい。
「どうなさいますか?王」
管理するはこの超銀河の安定と発展。
滅びも誕生も全てはその心一つ次第。
「…私もこの身をいくつかに分けて実体化いたしましょう。
  ……そこに、私の【娘】となるかの存在がいるかもしれませんしね」
この【超銀河系】においては全てが自分の意識の下にある。
逆をいえば銀河全てに自らの力…すなわち無意識は行き渡っている。
無意識の自我の欠片をそれぞれの場所にて形にするなどいともたやすい。
いくら、今現在、新たな誕生を促すほどの力が涸渇しかけているとはいえ、それくらいの力はまだのこっている。
「御意。ではそのようにそれぞれの銀河の代表者には伝えておきます」
全てを一人で抱え込むのはとても大変であるということはよくわかっている。
だからこそ、この【場】はまず始めにそれぞれれ補佐するものを生み出すことにした。
まず王である【マァト】が誕生し、その王を補佐する存在が誕生し、
そしてそれぞれの小さな銀河系などを治める別の小マァト達がそれぞれに誕生していった。
今の自分の代でたしかすでにもう二百五十七代目の【マァト】にあたる。
永きにわたりずっと一人で世界を支える、というのはどうしてもいつかその力と精神に苦痛がくる。
だからこそ、ある程度力が涸渇し始めた時期に新たな【次代】を選ぶ道を誕生時に選んでいるこの【場】。
全ては母なる意思のもと、自分達はそんな母なる意思の一部にすぎない。
それでも、大切な存在を守りたい、と思う心はまやかしのものではない。
まやかしなどといった単純なものでは世界を見守りつづけることなどできはしない。
「後継者もそこにいたらいいけど……」
気配が酷似しているがゆえに、直接視なければ皆目不明。
それが次代の器と自らの共通点、というのは自分がこの【マァト】を継いだときに理解している。
彼女はこの世界というかこの【銀河】をどのように導いてゆくのか。
それはわからない。
もしかしたらこのまま発展させずに死滅へとむかわせるかもしれない。
しかしそれは、次代に選ばれた魂が選ぶことであり、自分には何の権限もない。
どちらにしてもこのままでは自らの力がつきてしまい、
この【世界】の発展も維持も難しくなってくる。
維持ができなくなる。
すなわち、バランスが完全に狂い世界を構成していた力は崩壊し全ての銀河はその形をとどめることができなくなってゆく。
そしてまた、全ての【星】については生命をはぐくむ力すらなくなってゆく。
そして全ては中心の力にと飲み込まれ、最後に残るは静寂なる空間のみ。
その後、新しい空間…無から有なるのか、それともそのまま無の空間のままになるのか。
それはわからない。
全ては母なる意思のままに。
小さくつぶやきつつも、声のみがきこえていた空間よりゆらり、と一つの人影が出現する。
その人影はそのまま、周囲に溶け込むようにそのまま溶け消えてゆく。
目指すは、幾多も発生している欠片達の元。

彼女は知らない。
そこで出会う【存在】達のことを。
そしてまた、そこは全ての終わりであり、始まりである、ということを……

光と闇の楔 ~意思と次代とヴォイドの真実~

周囲の光景は先ほどのまま。
しかし、何かが違う。
強いていうなれば、今まで感じていた風、とでもいうのであろうか。
大地の匂いは確かにここにあるのに、感じるはずの【風】がない。
「…あ、あの?アテナ先生?一体何がどうなって……?」
なぜかはわからないが、周囲にいるどうみても【死体】としかいいようのない存在達。
おそらくは、死した体が【念】に乗っ取られ、【堕ちた存在】として操られているのであろう。
伊達にこれまでギルド協会学校でいろいろと学んでいたわけではない。
ましてやアスタロトの授業において、【念】の本当の正体とその発生の仕方。
それは嫌、というほどに叩き込まれた。
何しろ自らの中から…正確にいえば自分以外には誰もいないはずの空間にて、
しかも自分が心の奥底で恐れている存在、その姿を模したゾルディが目の前に発生すればなおさらに。
おそらく他の生徒達も同じような目にあったのであろう。
あれ以後、生徒達による【ゾルディ】や【ロア】といった疑問というか畏怖は感じられなくなったような気がする。
…まあ、方法がとことん追い詰めて死ぬか生きるか、という状況下に置いたのち、
それぞれの心の感情を爆発させてそれらを生み出す、という荒療治ともいえる授業であった、
という感は誰しもがうなづくところ。
アスタロトいわく、きちんとした知識をもっていないのは、無知と同等であり、
知識があってこそ対処できるものがある、とのこと。
たしかにその通り。
その通りなのだが…しかし、ならば今のこの現状はいったいぜんたいどういう理屈になるのだろうか。
だからこそ問いかける。
そっと手を伸ばしてみれば、そこに視えないが【壁】らしきものが存在しており、
どうやら自分達は【外】…すなわち、ディアや美希とは隔てられているらしい。
おそらく説明できるのは目の前にいる戦女神でもあるアテナだけであろう。
視界にはいる真っ黒いよくわからない、しかもどうやらアレでも意思があるらしく、
うねうねとうごめきつつも何やらディア達と会話しているらしき声らしきものが聴こえてくる。
しかしその会話の意味はまったくもってケレスには理解不能。
そもそも、惑星だの、意思だのといった言葉に何の意味がある、というのであろうか。
ついでにいえば、ぞわわわ、と鳥肌がたつ、としかいいようのない異形の存在達。
どういう理屈なのかはわからないが、【声】を発している人類にとっては嫌われ者といっても過言でないとある生物。
それの巨大化版。
なぜ二本の後ろ脚らしきもの肢らしきものでその半身をうかびあがらせつつも、
その棘にみちた口もとをもごもごとうごかして【言葉】をディアにむけて放っているのか。
アレはとにかく、ゾルディの一種、と思い込むことでどうにかその嫌悪感を抑えつつも、
動揺をどうにか押し殺しつつもアテナにといかけるケレス。
そんなケレスに対し、
「すいません。ケレスさん。…私にもどう説明していいのかわかりません。
   しかし、これだけはいえます。…あの黒き塊は尋常でない力を持ち合わせています」
自分ではまったくもって手も足もでない。
それはもう直感として理解できる。
みているだけで竦んでしまうような【何か】があの黒き塊にはある。
そもそも、【超空洞ヴォイド】の欠片、とはいったいどういう意味なのか。
説明を求められてもどういう反応をすればいいのかがわからない。
そもそも、アテナの脳内もいまだに混乱ぎみ。
以前にこのような経験をしたような覚えがある。
それがいつだったのかはわからない。
しかし、なぜだろうか?
以前にも、補佐官と王が同一であり、魔界の王と天界の王が同一かもしれない。
その疑念が持ち上がり、気がついたときにはその疑念はいつのまにか考えることすらなくなっていた。
今思いだしてもそれはおかしい、とししかいいようがない。
まるで何かの【意思】が働いたかのように。
しかし、あの黒き塊がいっていたように、【補佐官】と【惑星の意思】が同一、というのならば全てが理解できる。
【王】がどちらの界、すなわち魔界においても天界においてもまずその姿をみたものが補佐官しかいない。
というその不可解なる事実。
一説にはその姿をみただけで【王】のもつ力に耐えられずに存在そのもの、魂そのものが押しつぶされ、
下手をすれば消滅してしまうほどの力をもっているからであろう。
そのように考えられていた。
またおそらくそれが真実てあるがゆえに、補佐官が王の言葉を代行し全てを取り仕切っていたのであろう。
それが二つの界における常識ともなっていた。
補佐官と惑星の意思が同一であるというならば、まちがいなく、王とも同一である、ということに他ならない。
惑星の意思とはすなわち、自分達が存在しうる大地そのものを指し示す。
大地があるからこそ様々な界は存在する。
一応、世界が【球体】である、ということは主要たる役職についている神々、そして魔王達は説明をうけている。
正確にいうならば、【世界】の【外】より自らの住まう惑星を【魂の奥底の記憶】に【視】せられている。
魂の奥底に眠っているその記憶は普通は表にでることなく普通は過ごす。
それこそ【王】の何らかの【意思力】が働かない限りはほとんどのものはその事実にすら気がつかない。
惑星の意思である補佐官と、そしてあの黒き塊。
その関係はアテナにもわからない。
まあ、二大勢力の幹部である【フレイン】と【マルマラ】は【意思】には絶対にかなうはずがないが。
そもそも、彼らがその場にいる、ということ自体が【意思】に【認められている】からであり、
【意思】が認めない【存在】はそもそも存在することすら許されない。
それは絶対ともいえる【理】。
アテナは知るよしもないが、全ての【惑星】においていえる絶対的な【掟】であり【真理】。
アテナのそんな心の動揺を知るよしもなく、
「強い力…って、ディア達が危険なんじゃぁ!?
  というかなんであの異形のものたちすらディア達のほうを取り囲んでいるんですか!?」
自分達のほうには目もくれていない。
自分ならばまだ火の精霊王の加護のもと、火の力を扱うこともできるがゆえに、
ゆえに火の精霊王の力をかりて【浄化の炎】を操ることも可能。
もっとも、力を行使している間、その詠唱を止められればそこまでだが。
「それは…ともかく。私がするべきことは。ケレスさん。あなたを守ることですから」
どうして美希をも守るように、といわなかったのかはきにかかる。
しかし、ディアと名乗っている補佐官が美希のことを【様】づけしていることからして、
おそらくかの少女も普通の存在ではない、とうすうすは察している。
この場で普通の【人】でしかないのはまちがいなくケレスただ一人。
美希が常に傍においている子猫も気にはかかるが、あの子猫もかなり不思議な存在としかいいようがない。
そもそも、その姿はそのまま子猫でしかないのに、ここにきてしばらくたつというのに、
まったく成長する気配の欠片すらみせないのはどういうわけか。
すなわち、いまだに三か月程度の子猫の姿のままで今現在に至っている。
普通、子猫は六カ月で成猫とほぼ同じ大きさにと成長する。
しかし、かの子猫は美希を保護したときと同じ容姿のまま今現在に至っている。
美希は不思議とそれに対して違和感などを感じていないようだが、
それは気づいていないのか、はたまた完全にそのことにたいして疑念を抱く暇すらないのか。
おそらくそのどちらか、なのであろう。
…普通ならば、成長しない、というのにいささか疑問を抱くのが普通。
そう、普通なら。
よもや、美希のいた【場所】では【世界】の力が歪み、成長が遅れる存在が多々と増殖していた。
などと知らないアテナからしてみればそれこそ理解不能。
まだ、神族や魔族、そして竜族といった長命族ならばその成長の遅さも理解はできる。
しかし、別の世界からの来訪者。
その事実しか知らないアテナからしてみれば、美希もそして子猫のみゅ~もまさに範囲外、
としかいいようのない、自分の常識が通用しない相手でもある。
ケレスの問いに正確に答えるすべを持ち合わせないアテナからしてみれば精いっぱいの返答。
「だから、何でわたし…」
どうして自分だけがこうして別の場所にあるいみ隔離されているような形になっているのか。
いや、隔離、という言葉は正しくはないかもしれない。
たしかに壁のようなものは手を伸ばせばたしかに感じる。
しかし、その向こうにある光景も声もたしかに聞こえてきてはいる。
動けばその壁も同様に自分についてきているのがわかる。
すなわち、これはそういうこと。
自分を中心にしてこの【視えない空気の壁】は存在している。
創ったのは、目の前のアテナか、それとも、信じられないが言霊使いの能力によってディアが生み出したものか。
ケレスがさらに問い詰めようしたその刹那。

ドッン!!!

周囲を震わすばかりの轟音が辺り一帯にと響き渡ってゆく……

「「…あれは……」」
そこに今までいなかった人影を視てとり思わず同時につぶやいているアテナとケレス。
自分達に何もできないのが歯がゆい。
正確にいえばアテナは自分がうごいたとしても、ティアマトの足手まといでしかない、と理解している。
ケレスは動きたいのに自らの周囲を取り囲んでいる視えない壁のせいなのか、
呪文…正確にいうならば契約の言葉を紡ぎだしても炎の一つも具現化しない。
それもそのはず。
この場は【第三の意思】によって産みだされている特殊な空間。
【彼女】の…【意思】の許可がなければどのような力も扱うことなどできはしない。
というか、先ほどまでそこにいたはずの【ディア】の姿が見当たらない。
否、見当たらないのではない。
姿が異なっている・・・・・・・・・・
「ここ、でないと私もこの姿になれませんしね」
気がついたのは、次代の誕生の余波をうけたとき。
自らの内にとある何か。
自らの深層意識の中に潜っていき、この【力】にと気がついた。
あきらかに、大姉様達よりも強い巨大な力。
どうしてたかが第三惑星でしかない自分にこれだけの力があるのか。
おそらくは、今の第三惑星、という意思になる前の自らの【在り方】に関係しているのかもしれない。
しかし、どこか怖かった。
この力が知られれば、自分は【家族】から違う思考でみられるのでは。
という思いがどこかにあった。
だからこそこの姿は常に自らの【内部・・】でのみ扱うことにした。
いつもの【器】の姿では、目の前の【欠片】に簡単に敗北してしまうであろう。
それだけは避けなければならない。
自分の愛し子・・・・・・達を危険な目にあわせるわけには断じていかない。
さらり、と伸びている銀色の髪。
そしてどこまでも吸い込まれそうなほどの漆黒の瞳。
そう、一言で言い表すならば紛れもなく漆黒としかいいようがない。
人の姿ならば必ずある瞳孔や角膜、というモノは一切存在しない、ただそこにあるのは漆黒の瞳のみ。
漆黒のその瞳はどこまでも吸い込まれそうであり、光がないはずなのにどこか光を宿している。
服装はどこかゆったりとした淡い光を放つ布のようなものでできた継ぎ目のない一枚の布。
としかいいようのないもの。
そこにいるだけで、全てを包み込み、また消滅できるのではないか、というほどの圧倒的な存在感がそこにある。

「…ディアさん、その姿は……」
知らないはずなのに、だけども、知っている。
そう、この姿はまさに……
ふっと脳裏に浮かぶその情報。
ゆえに驚愕を隠しきれない美希。
どうして自分はそのような情報を知っているのか。
過去のことは何もしらない自分。
それはまだ幼かったからだ、とおもっていた。
だが…それは、本当に?
ディアとすればこの姿がどういった意味をもつのかよくわかっていない。
正確にいうならば思いだそうとしても思いだせない。
一つだけいえるのは、自らの意思でその情報に枷がかかっている、というその事実のみ。
おそらく今の惑星の意思になるにあたり、そのときに枷をかけたのであろう。
それくらいのことは予測がつく。
「?私のこの姿の真を知っているのですか?…まあ、美希様なら知っててもおかしくはないですけど」
おそらく、次代に選ばれた時点、正確にいうならばその次代となることを了解したそのときに、
基本的な知識はすでに【次代の器たる魂】そのものに刷り込まれているはずである。
それが自らが抱擁することになるであろう【世界】のことならばなおさらに。
「…様…づけ?…ふ…ふはははははっっっっっっっっっっ!!!」
惑星の意思が敬称をつけて呼ぶ相手というのはごくごく限られているはず。
ましてやこのような【力】を行使できる存在が敬う相手といえばおのずと限られてくる。
だからこそ笑わずにはいられない。
「そうか…そういうことか!何の力もないたかが人間の姿となっていたとは!
  さがしたぞ!次代の器よっ!」
いきなり狂ったように笑いだし、目の前にいる美希に対して忽然と言い放つ、
超空洞ヴォイド】の【欠片】と呼ばれしもの。
そんな彼らの会話にまったくもってついていかれない【フレイン】と【マルマラ】。
そもそも、こうして自分達が存在としての自我を保っているのすら限界としかいいようがない。
それほどまでな圧倒的な【力】が確かに目の前の【意思】たる存在からは発せられている。
自分達がどれほどまでに小さい輩なのか思い知らされてしまうほどの圧倒的な存在感。
それがたしかにそこにある。
自分達程度の小さな自我や意識ではその【意思】の【器】を乗っ取ることはまず不可能。
そう、としかいいようがない。
しかし、だからといってあきらめるわけにはいかない。
すでにもう事は動き始めているのである。
自分達の長が捕えられてしまった以上、功績をあげたものが次なる長となる。
一番いいのは頭領達をたすけだすことではあるが、おそらく助けだしても以前の彼らではないであろう。
ゆえに、だされた結論は、助けだすことも視野にはいれてはいるが、次なる組織の頭領となるべき存在。
幹部会議において、一番功績をあげられた存在が次なる頭領になる、という話し合いはついている。
だからこそ諦められない。
否、諦めるわけにはいかない。
こうして行動を起こした以上、自分達にまっているのは幽閉か、もしくは消滅か。
おそらくはそのどちらか、であろうことがわかっているがゆえにあきらめられない。
「とりあえず、次代様に傷をつけさすわけにはいきませんし。
  もっとも、ここではたとえあなたといえども力をふるうことは不可能に近いですよ?
  ここではおそらく、あなたの本体との接触も断たれているはずですし」
そう。
それだけは確信していえる。
ここは彼女の許可がない限り、外部との連絡は一切断たれている場所。
よくて敵意のないものならばここに迷い込んでくることはおそらく可能であろう。
しかしこの場に満ちている【力】に耐えられられれば、という注釈がつく。
おそらく、いくら神であるアテナとはいえディアの張った結界がなければこの空間の【力】には耐えられない。
そのまま力に呑みこまれるか、よくて気絶するか、そのどちらか、であろう。
「…そのよう、だな。本当に何ものだ?きさまは……
  もっとも、このような小さな惑星の意思になり下がっているのはおそらくキサマの意思によるものだろう。
  元々そこまでの力がありながら、なにゆえにこのような小さな意思にとなりさがる?
  おそらく、予測するに、キサマはどこかの銀河のマァトかそれに準ずる意思といったところか?」
それだけでは自分の力すらをも抑え込むこの力の理由にならないような気がするが。
しかし、彼とて全ての【マァト】達を知っているわけではない。
むしろ今自分が意思として存在しているこの超銀河空間。
ここよりも大きな空間はおそらく多々とあるであろうことは容易によそくはつく。
もしもそこの【マァト】が転生してきているのならばこの力にも納得がゆく。
次代のマァトとなるべき器と、かつておそらくはどこかのマァトであったであろう意思。
これほどまでの希有としかいいようのない存在がそろっているなど普通はありえない。
そう、普通なら。
たしかに目の前のディア、と呼ばれていた少女の言うとおり、
意識を本体である【超空洞ヴォイド】全体にむけてみても読み取れない。
完全に欠片である自分と本体は切り離されている。
つまりは目の前のこの【惑星の意思】は、
自らの本体に匹敵する力をも持ち合わせているという可能性も捨てきれない。
「さあ?私も前が【何】であったのか知りませんし。
  というか私たちのような存在は前のことは覚えていません。
  それは制約によって決まっていること。それくらいはあなたとてご存じでしょう?
  【超空洞ヴォイド】の欠片よ。…いえ、元【クェーサー】といったほうがいいですか?」
ホワイトホールとブラックホールの元ともいえる存在。
そしてそれらの元意思が形をかえて超空洞ヴォイドとなっている。
それがこの【場】における【超空洞ヴォイド】の真実。
この空間に引っ張り込んだ時点で相手の情報は全て把握済み。
なぜかこの空間に入ってきた存在に関しては全てを知りうることが【第三の意思】には可能。
そして、その法則は当然、なぜかはわからないが次代の器である美希にもあてはめられている。
もっとも、どうやらその制約が緩み突発的に何かを思い出す存在も多少はいるようではあるが。
そう、今目の前にいる超空洞ヴォイドのように。
そのことに多少戸惑いつつも、それを口にすることなく、淡々と目の前の黒き塊に言い放つディア。
すでにその容姿はかつて、ディア、となのっていた少女のものではない。
あまり違和感を感じさせては、というのでディアがとっていた年相応の姿を一応形どっている。
「…クェーサー?原初の宇宙の初期に誕生する、というあの…?」
知識としてなぜはわかる。
しかし、ならばつじつまがあう。
ここに入ってきたと同時に自らの中に流れ込んできた様々な知識。
どうしてそのような知識が流れ込んできたのかはわからない。
正確にいうならば思いだした、としかいいようがない。
突如として自らの魂の奥底から様々な情報が心の中にと流れ込んできた。
だからこそ戸惑いつつつもつぶやかずにはいられない美希。
そして…その、彼の元となった魂。それは……
「……さみしかった、んですね」
ぽつり。
誰ともなくそうつぶやく。
「なっ!何をきさま!」
いきなり場違いなことをいわれ思わず叫ぶ【欠片】はおそらく間違ってはいないであろう。
よもやそのようなことを言われるなどいったい誰が予測できようか。
「戸惑い、恐れ。それらが形になってしまった原初の心。
  その心は無から有へとなり、そして今のあなたがある。
  ……あなたが本当に望んでいるのは、世界の終焉?それとも…ともにあること?」
悲しい、さみしい。
誰か傍にいて。
自分が何なのか、このままいてもいいのか。
……本当に自分が【世界】を創りだすことができるのか。
―― それは、初代の心が生み出した影ともいえる存在。
そして、初代とは、この空間そのものである意思そのもの。
意思は自らをゆだねられる器を選び、そしてゆだねた。
母なる意思の許可のもとに。
選ばれし器は全てを受け入れた。
母なる慈愛の心を持って。
全ては愛する【世界】のために。
ゆっくりとわれ知らず黒き塊のほうへと歩み始める美希。
本来ならば止めるべきなのであろう。
しかし、ディアは判っている。
この行為は止めるべきではない。
第三の意思としては止めるべきなのであろう。
それは十分に理解している。
相手はまぎれもない、世界を虚無に導こうとしている超空洞ヴォイドの欠片。
そして、美希はこの世界の新たなる器となりえる存在。
器、とは【王】であり、【王】はゆえに【マァト】とも呼び称される。

「…アージェントの心によって安定していた貴方の【心】。
  だけどあなたはまだ癒されていないの?ヘデンヘルグ……
  …新しい【生】を受け入れることなくあなたは今まだここにいる」

超空洞ヴォイドの心は確かに【マァト】によって浄化されてはいる。
しかし、無へと導く心は簡単に消え去るものではない。
その心は別の心を呼寄せあらたな超空洞ヴォイドの意思となる。
…そうして、二百五十七代にわたり、この連鎖は繰り返されてきた。
今、超空洞ヴォイドの意思を構成しているのは、
かつて【ヘデンヘルグ】と呼ばれし存在の孤独なる心。
【マァト】の内部により、常に繰り広げられてきている別の連鎖。
全てを浄化できうれば一番いいのだが、それだけ守るべき【世界】は広く、
心も多種多様。
だからこそ、いくら【マァト】の深き心においても全てを浄化しきることなどはできはしない。
一つ浄化を遂げてもどこかで別の【強き念】は誕生してしまう。

流れてくる知識から感じるのは彼の孤独なる心。
なぜか彼の本来の意思たる名前も知識として流れ込んできた。
だから、いいたい。
あなたは一人ではないよ?
と。
どうしてそう思うのかわからない。
だけども孤独のさみしさは美希とてよくわかっている。
だからいいたい。
彼に…あなたは、一人ではないのだ、と。

―― …だからこそ、ディアはこの惑星上においてこのような仕組みを作り上げた。
念そのものに【器】を与え、惑星内で産みだされる【念】の処理だけでも施そう、と。

ただそこに在るだけで感じ取れるこの場にいる全ての存在の心。
ここが【内部の空間】であるがゆえにそれは当然、といえば当然なのかもしれない。
しかし、美希の心まで流れ込んでくる、という現象が今いちディアにはよくわからない。
…しかし、それが当たり前、とおもう自分もいる。
いろいろと考えることは多々とあれど、今は何よりも、美希の動向に注目せざるを得ない。
…もしも、相手が拒否を示し攻撃をしかけるようならばこちらからも行動せざるを得ないであろう。
少なくとも、相手を【拘束】するくらいは許されるはずである。

―― …それはおそらく、【試練】の邪魔にはあたらないはず。

「…よ…よせ!ちかづく…なっ!」
攻撃をしかけようにもなぜか力が発揮されない。
ありえない。
というか力を繰り出そうにもどこかでそれを止めている自分の心に驚愕せざるを得ない。
やがてゆっくりと、美希が黒き塊である超空洞ヴォイドの元におもむき、
そっと無意識のうちにそれを抱きしめる。
もっとも、抱きしめる、といっても当然、美希が両手を広げても
超空洞ヴォイドの欠片ともいえるそれがとっている黒き球体のほうがはるかに大きい。
それでも美希はどうしても伝えたい。
―― あなたは、一人ではないのだ、と。

―― 時は満ち足りた。
「みゅ~~~~!!」

刹那。
場違い、ともいえる子猫の甲高い声が空間全体にと響き渡ってゆく……


                            ――Go To Next

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あとがきもどき:
薫:ラストのラストでみゅ~ちゃんの本質があらわに!
  というか、今回、おもいっきり美希と【ディア】の正体に主にほとんど触れてたり?
  ちなみに、そろそろ名前が連なってきたことで予測出来ている人は多々といるかとv
  いうまでもなく、ヘデンベルグ輝石が元ですよv(笑
  というわけで、これに関してでてくる名前シリーズは主に鉱石というか鉱物シリーズですv
  今までこれに気付いた人は何人ですかね?
  まあ、名前シリーズは私のあるいみオハコ?ですしねぇ(苦笑
  なんか空気になってるケレスとアテナ(自覚あり
  さてさて、次回で現マァトの登場ですv
  ついでにみゅ~ちゃんの正体にもふれてみますvんではまた次回にてv

2011年5月6日(金)某日

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