まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

これの番外編さん?をなろうに投稿してみたり。
…これも、ある程度たまったらなろうに投稿してみようかな?
それか、別のオリジナルを投稿してみるか……
ちなみに今、可能性として考えているのはどちらも銀の髪の女の子のお話しですv
もっとも、片方は力を発揮するとき以外は黒眼、黒髪なんですけどね(まて
ともあれ、あるいみこれからがお話し展開開始、の1話、いくのです♪
今回はちといろいろな複線もどきの裏方話しをだしてみたり。
だしといたほうが今後の展開がさくっとわかりやすいかなぁ?
という淡い期待をこめてます(まて
ともあれ、いってみるのです♪

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確かに自分達で考えて行動することは大切。
しかしやはり上の判断を仰いで行動したいのも事実。
実際、かの判断に間違いなど今までなかったのだから。
「……いったい、どちらに……」
……まずは、魔界側に確認してみて、それから精霊界等。
もしかしたらお一人で外交にいかれたのかもしれない。
そんなかすかな期待をこめつつも、しばし殻の『王座』をながめてゆくいくつかの影……

光と闇の楔 ~入学試験と仮入学~

「はい。登録を確認いたしました。それでは学園の入学試験の内容をご案内させていただきます」
入学試験をうけるにあたりギルドで一つの依頼をうけ、その品を先刻ギルドへと持ち込んだ。
その依頼中に一人の男性と知り合ったりもしたのだがすでに森から出ると同時に別れている。
男からしてみればいろいろと聞きたいことがあったのだが、少女の姿を見失ってしまったのだから仕方がない。
少女はそこに『いた』のに男性が気づけなかった、というのを別として……
ギルド協会が経営しているこのギルド学校協会。
学校の背後に協会、がついているのは同じくギルドが経営しているからに他ならない。
つまりはギルド協会の一端であることを物語っている。
もっとも、判りやすい名前にしたほうがいいだろう、というのでこの名称になっているのだが。
今、彼女…ディアがいるのは学校ギルド支部の出張所。
いわば出先の機関のような場所。
冒険者ギルドからこちらにきたのはつい先ほど。
ギルドの受付から案内状を渡されここにきた。
「どの学科がいいとか特にありますか?」
「いえ…特には……」
ギルドが経営している学校は様々な分野に及んで学科をかまえている。
「それでは総合科が無難ですね。学校の説明はおききになりますか?」
「はい。おねがいします」
周囲には数名、同じ目的で説明をうけている人々の姿が目にとまる。
中にはすでに成人しているような人も見受けられていたりするがそれはそれ。
それは別に珍しいことでも何でもない。
「それでは、それぞれの学科の説明をしたいとおもいます」
今、彼女達がいるのはとある一室。
簡易的に並べられた机といす。
その椅子に座り目の前の教壇らしきものにたっている人物の説明をきいている状態。
「それぞれの学科にはギルド同様、ランクがあります」
こちらは、A~Dクラスと分かれるようにとなっている。
一般的にAクラスはそれぞれが得意分野として極めよう、もしくは資格を取りたい人達が在籍している。
簡単に説明するならば、建築業を行いたいものは、建築家のAクラス、ということとなる。
もっとも、Aクラスにいけるのはすでに基礎ができているものたちに限るのであるが。
逆にDクラスの場合は基本的な基礎知識から教えをこうことになる。
そして、今、ディアが説明をうけた総合科、とは言葉通り、様々な学科を総合したもの。
簡単にいえば浅く広くそれぞれの知識を学ぶ学科でもある。
そこから自分が興味を抱いた学科を選考し、別の学科に移籍することは可能。
この場にいるそれぞれがそれぞれにあるいみ判りやすい格好、といえば格好をしている。
一人はローブを全身にまとっている男性。
一人はその筋肉質から体力系?の仕事につきたいであろう、そんな人物。
ちなみにどうみても年齢は成人年齢を超えているようにみえるのはおそらく気のせいではない。
そして一人はおそらく十代後半くらいであろう。
それでいて分別を踏まえたような表情をしており、凛とした姿勢を崩さないままに説明を聞きいっている。
ちなみにその手元にはしっかりと、『世界の歴史』という題名の本が握られている。
一人、これといって特徴のない格好をしているのがディア。
とはいえよくよくみればその容姿も他のものよりも格段に勝っているのだが。
なぜか周囲に溶け込むようにほとんど目立っていない。
「まず、みなさんには試験をうけていただきまして、それから仮入学、となります。
  そして仮入学後の試験を得て、学校への入学を許可いたします」
そうほいほいと受け入れるだけの余裕が組織にあるわけではない。
ゆえにこそふるいはかけられる。
といっても、この試験に合格しなかったものは補助的な役割を果たしている場所にと優先的にはいることができる。
もっともそちらのほうは実技を伴いながらの実習ということになるのだが。
簡単にいえばそれぞれの希望分野の技術師などの元で見習いしながら学ぶ、という形になる。
もっとも普通に入学してもそれを希望すればその方法をとることも可能ではあるが。
試験の内容はごく簡単。
全体的に均一された問題に記入するのみ。
世界史。
妖精学。
魔聖学。
薬草学。
魔科学。
総合学。
これらが主な科目となり、総合学は様々な職業などの基本に対する質問などが問われている。
だいたいこの試験において今現在、自分がどの分野における知識をもっているのか簡易的にではあるが把握が可能。
自分が何をしたいのかわからないものなどはよく今現在の自分が最も知識があるであろう部門にいきかける。
もっとも、それから向上心を発揮すればいいがそのまま現状にあまんじていては先はない。
総合学においては様々な特殊職業などのことにも触れられている。
自分が今どのあたりにいるのか、自分自身をしるのもまた大切なこと。
簡単な説明がなされた後、それぞれに試験の用紙が配られる。
ちなみにこの用紙には特殊な薬品と魔術が使われており、偽造などができないようにとなっている。
この部屋から持ち出したりすれば紙ごと燃える仕組みとなっている。
また、何かに書きうつそうとしても同じく、紙は燃え上がる仕組みが組み込まれている。
ようはどんな内容の試験が出たか詳しく外に漏えいしないがための処置。
とはいえまったく漏えいさせてはいけない、というのではなく。
どんな内容だったのかくらいならば、細かいとこまで詳しくなければ第三者に受験者達が話すことは可能。
そんな形なのでいうまでもなく機関の一つとして今までの傾向と対策を用いた学院もまた用意されている。
大概はそこに通い、そして本格的に試験をうけるものが多数なのだがそれにはどうしても資金がかかる。
資金力のないものたちはギルドから出された試験的な依頼をこなして学校への入学試験の許可を得るしかない。
ギルドは大概誰にでも平等にその門をひらいている。
生きとし生けるものの可能性、というものを開くために。
「それでは、今から試験を開始いたします。できた人から退出してもかまいませんが。
  一応制限時間というものはありますのでご了解ください」
基本的な説明をしたあとにこの場にいる全員を見渡し別の職員が書類の束をもって部屋にと入ってくる。
配られる必須科目は一度にすべて。
自分の得意な分野から片づけてゆくのもよし、ゆっくりととりくむのもよし。
ちなみにきちんと休憩時間、というものも設けている。
ギルドの協会学校の試験は基本、いちにちがかりで執り行われる。
ゆえに問題をなかなかとけないものがいた場合は真夜中にまでおよぶこともある。
「それでは、はじめてください」
時間をどうつかおうがそれは各自の自由。
が、しかしその試験中に参考書などを読んだりする行為があった場合はそっこく失格となる。
まあ、それでも失格となっても再び挑戦する権利は剥奪されていないのだから再挑戦すればよいだけのこと。
「…さて、と。どうするかなぁ~……」
一番無難なのはCクラスに滞在するようにしむけ…もとい、計算すればいいだけのこと。
しかし、ここで数年ものんびりとやっていたらどこから話しが漏れるかわからない。
確か今までにも半年、もしくは一年くらいで卒業したものもいたはず。
「やっぱり。あれくらいがちょうどいい…かな?」
うん。
そう一人ごとをいいつつも一人納得しおもわずうなづく。
「…すこし、あそんでみますか…ね♪」
ふと面白いことを思いつき思わず笑みを浮かべるものの、そんな彼女の姿に誰も気づかない。
「さて…と。どれだれの存在がこれの解釈、できるか楽しみね♪」
ふふ。
それに何よりもきちんと【彼ら】が役割を果たしているのか見分ける基準にもちょうどよい。
この世界で共通している文字と、かつてあった文字。
それらを組み合わせて問いの意義と答えをかきこんでゆく。
「あまり時間早くても目立つし…しばし、のんびりとしておきますか」
どうせまだ昼時にまでは時間がある。
昼時に合わせて試験用紙を提出すればよい。
部屋の前で様子をみている監視係りに気付かれることなく、しばしほほ笑む少女の姿が見受けられてゆく……


かつてこの世界は疲弊し、壊滅状態へとむいていた。
そのとき世界…惑星全体を大災害が襲い…否、星そのものが震撼した、というべきか。
星の鼓動はその星上の生命をことごとく一度無と化した。
そして新たに創りだされた理。
自分達だけの種族だけが滅ぶのならばいざしらず、他の命までをも道づれにしたかの種族。
自分達のみが正しい、とどうしてそう思えるのか。
それでなくてもそれで滅亡の道をたどっていった存在達は数しれない、というのに。
そして…それらの過ちを繰り返さないためにとあるものたちが生み出された。
否、彼らは罰をうけている、といったほうがいいのであろうが……
「伝道師…ねぇ。しかしなんでそんなたいそうな人がこんな王都に?」
「何でも今世界中がおかしいだろ?そのために知識の協力をもとめたんだそうだ」
世界中にそう数はいないとされる【伝道師】。
その知識の豊富さは誰もが憧れを抱く存在であり、もっとも神に近しいもの、とすらいわれている。
実際にまちがいなく彼らは神の加護をうけているのであろう、というのは世界中の常識の一つともなっている。
そんな人物がやってくる、という噂が真実だ、と判ったのはつい先日。
ゆえに話題にものぼる、というもの。
「ま、たしかに。最近世界の様子がおかしいのは確か…だな」
ここ数年、いやしばらく一段と魔物の数が増えている。
そして本来、世界の理が正しく起動していれば存在するはずのない生き物の姿すら見受けられ始めている。
「やはり、あれかねぇ?天界と魔界の地上介入…が原因、なのかねぇ?」
ある国では天界のものが地上のものへと手をかしている、とまことしやかに噂されている。
そしてまた、とある国では魔界のものが地上のものと手をむすんでいる、などと。
それもすべては眉唾のようで、それでいて現実味を帯びているのも事実。
実際にここ最近、たしかに世界情勢はかなり悪い。
「ゾルディが異様に出始めているのも原因の一つ、だろうなぁ」
「だな」
おもわずそんな会話をしつつも黙りこんでしまう。
ゾルディ。
この呼び名を知らないものはこの世界にはいない。
それらは様々な存在の【負】の【心】が一定量を超えることにより生み出される命。
その容姿はさまざまでその【核】となった心のよりどころにと依存する。
普通ならばそれらが生まれたときにどこからともなく魔界より魔物があらわれてそれらを喰らう、のだが。
その結果、それが生み出された後には下手をすれば何ものこらない、という現状すらおこりえる。
「ほらほら。あんたたち。何暗い話ししてんだい!」
どっん!
そんな会話をしている男たちの前にどんっと置かれる山もりとなっている皿に盛られた野菜料理。
皿には色とりどりの野菜がもられているが、主に緑色の野菜が多い。
栄養が高い、ということもありロッコリ、という野菜が主にふんだんに使われている。
ロッコリはこのあたりでは定番の野菜の一つでゆでても煮ても焼いても重宝する野菜の一つ。
ちなみに生でもたべられるしその花はすこし甘みをおびており、ちょっとした甘味にもなる。
ゆえに庶民の味方、としてかなり普及している野菜の一つ。
「他にもお客がいるんだから、あんまりしんみりとした話しをするんじゃないよ。
  こういう場では明るい話題をするもんさ!」
そういいつつも、先ほどまで話していた一人の男性の肩をばんばんと叩く恰幅のいい女性。
彼らが今いるのは王都の中にある、とある食堂兼宿屋。
ちょうど大通りから少し入った先の中通りの位置にあり、ギルド案内場もこの建物の中にと設置されている。
ギルドそのものはそれぞれの部署によって建物の位置が異なっており、
こうして案内場のようなものがなければ迷うものが出てきてしまう。
この宿は主にギルドに登録しているものたちがよく利用することから中に案内場が設置されている。
「まあ、そうかもしれないけど。あ、そういやよ。ルードのやつがさ、竜退治あきらめたらしいぜ?」
宿の女主人の言葉に苦笑しつつも、ふと思い出したように話題を振る。
「というかあいつ、本気で竜退治にいってたのか!?」
たしかにあの場に竜がいる、と教えたは教えたが……
しかしあれは酒の席での話しで本気にするとは思わなかった。
ゆえにこそ思わず呆れ口調で叫んでしまう彼の気持ちは判らなくもない。
「……あいつ、この町というか王都を破壊させるつもりだったのか?」
「たぶん、危険性、まったく考えてなかったんだとおもうぞ。オレは」
「「……は~……」」
あきらめてくれてよかった。
いや、本当に。
たしかに、かなりの金額になる、と教えたは教えたが……
まさかほんとうに実行に移すなど。
少し常識にあてはめて考えればわかることであろうに。
いくら相手がまだ若い竜であろうとも、その威力は絶大なもの。
…下手をすれば森の加護をうけているであろう竜の機嫌を損ねれば、
このあたりいったいの農作物の収穫は数年以上にわたって見通しがたたなくなってしまう。
それほどまでに竜、そして自然界とのつながりは深い。
それがわかっているからこそ二人しばし見つめ合ったのちに盛大にため息を吐き出す。
と。
カラッン。
建物の出入り口の扉が開かれ、その上部につけられている鈴が音をならす。
「あれ?ジーク達じゃないか。こんなところで何してるんだ?」
それと同時にはいってきた男性が、ふと店の中…食堂を兼ねている一階で食事をしている二人に話しかけてくる。
「おお。ラッキ~じゃないか」
「ラッキーいうなっ!俺の名前はラック、だっ!」
そんな人物の姿をみとめ、そんな声をかけている、ジーク、呼ばれた男性に対し、
そんな彼にとすかさず突っ込みをいれている男性の姿。
ちなみに彼は古代言語より何を考えたのか、
親が幸運、ということを示す、ラッキー、という言葉をもじり、ラック、という名を与えられている。
しかしその意味をしるもののほとんどは彼のことを【ラッキー】と呼ぶ。
名前、というものはそうそうかえることなどできはしない。
…まあ、偽名をつかえばそれはそれですむのであろうが。
「まあまあ。二人とも。それよりめずらしいな。お前がここにくるなんて」
彼はこういった場所にあまり顔をだすことはしない。
ゆえにこそ先ほどまでジークと呼ばれた男性と話していた別の男性が問いかける。
「ん?まあ、な。ちょっと興味がある話しをきいたんで…ちょいと人探しさ」
??
「「人探し??」」
そんなラッキーことラックの言葉に思わず顔を見合わせる男二人。
「そうか。ついにお前にも春がきたかっ!」
「ちがぁうっ!ルードからちょっと気になる話しをきいたんでな」
つい先ほどまで話題になっていた人物の名前がでて思わず目をぱちくりさせる。
ラックとルークはいわゆる幼馴染であり、いろんな意味でこの町ではかなり有名。
猪突猛進、思いこんだら一直線型のルークに、情報収集に余念がない慎重極まりないラック。
この対局、ともいえる二人が親友の立場なのだから世の中よくできている。
「おまえらも聞いたことがないか?…どっかの田舎からでてきた旅人ってところかとおもうんだが」
彼らの耳にもはいっていない、となる森からでてすぐに別の場所にいった可能いもある。
少なくとも。
もっとも、彼がどんな人物だったのか詳しく相棒から危機だせていればそれは杞憂だとわかったであろう。
「そもそも、何でさがしてるんだ?」
「それがさぁ。どうもルードのやつの様子がおかしいから問いただしたら。
  あいつ、森の中で【言霊使い】にあったらしいんだよ」
言霊使い。
文字は言葉を現す、というがまさにその通り。
言葉に力を込めることにより、相手の存在を問わずに意思を疎通させることができるもの。
そしてその言葉に様々な力をこめることにより数多の現象を起こすことができる、とすらいわれている。
「おいおいおい。じゃあ、何か?この町には伝道師だけじゃなくて言霊使いまでいるってことか?」
普通はあり得ない。
そもそも、特殊な能力をもっているものは国に属するか様々な機関に属しているか。
中には席を持たない根なし草的なものもいるにはいるが。
「ま、森の外でわかれたらしいけどな」
そういいつつも肩をすくめるラックの台詞に。
「そうか。…ってちょいまていっ!まさか、ルードのやつ、森にいったのか!?あの例の森じゃないだろうな!?」
果てしなく、あの森であってほしくない。
「いや。あの森にいったんだったら今ごろこの町は火の海か大混乱じゃないか?」
竜に喧嘩を売りにいったと仮定する。
もしそうならば、竜の激怒をかい、その竜の怒りの負の波動でゾルディが生み出されていなければおかしい。
そして間違いなくその生み出された新たな脅威は手近に存在している街を攻撃する。
だからこそ普通の人は竜にちょっかいなどかけないのだが……
しかし世の中、お金に目がくらみ後のことなどかんがえないものなど多々といる。
ゆえにこそそういった事例はなくならない。
「ま、言霊使いにあったっていうのも当人の勘違いかもしれないしな」
事実、話しをきけばいきなり消えたとか何とかいっていた。
普通の人がいきなり消えるなどできるはずはない。
何らかの術をもちいるものならばそれは可能であろうが。
しかしそんな術がつかえるようなものの話しなど今までこの周辺ではきいたことすらない。
「そういえば。噂にしかすぎないけど。ある組織が竜の卵を高額で買い取ってるとかいう話し。
  あれってどうなったんだろう?」
ふと、竜の話題になりそのことを思い出し何となくだが口にだす。
「ああ。あれならその組織の一員とおもわれるやつが近くの村に潜伏してたのを捕えられた。
  って話しをきいたぞ?しかし本当に竜を戦闘員にできれば勝てる奴はなかなかいないだろうけどな」
たしかに。
戦力に竜族を用いればそんじょそこらの術師などでは太刀打ちできない。
かといって竜を葬るほどの術を使える術師もそうそういるわけではない。
よくて【意思を疎通していうことを聞いてもらう】くらいならばどうにかできるであろうが。
しばし、たわいのないそんな世間話をしつつも、二人から三人になった彼らはそのままその場にて話しこんでゆく――
彼らが話しこんでいる同時刻。
とある見渡しのいい大地にさあっと風が吹き抜ける。
と。
とっん。
ふわり、とどこからともなく再び風が吹き抜けその場にたたずむ一人の少女。
「さて…と。あのこがこっちにいるって大姉様からきいたんだけどなぁ~」
この地にくるのも久しぶり。
滅多とあまりいききはしないがこのたびは特別。
「何かまたわけてもらえないかな~」
この地で再び命が失われる可能性があるらしい。
その魂をすこしばかり融通してほしいのもある。
自分の【世界】はかつて分けてもらった魂でだいぶにぎわってきてはいる。
やはりもともとある成分に合わせての進化になっているにしろ。
それでもかつてこの地に住まうものたちが開発した装置はダテではない。
その仕組みを把握しているからこそ世界の改革も進んだ。
「とりあえず。クイーンの代替わりがそろそろあるらしいし。それまでにはどうにかしたいしね~」
代替わりどきには何かしらの影響が数多の【世界】に及ぶのは周知の事実。
だからこそそれに備えたい。
水色の髪がふわり、と風になびく。
「…とりあえず。ここの彼らに気付かれないようにあの子と接触はたさないと…ね」
ゆらっ。
そうつぶやくと同時に水色の髪に水色の瞳をした少女の姿は瞬く間にかききえる。
まるで今までそこに少女がいたのが嘘のように……

「う~ん。二の姉様が来てるのはわかってるけど……今はなぁ~……」
気配でわかった。
しかしあちらをほうっておいてもいいのだろうか?
そんな思いがふとよぎる。
まあ様々な核ともいえるモノを創りだしているのでそうそう混乱はおこらないであろうが。
かといってあまりうろうろされて【彼ら】にみつかるのはよしとしない。
「とりあえず、入学試験の結果もわかったことだし。…少し話し合いにいきますか」
とりあえず目標にしていたCクラスに振り分けがきまった。
明日からすぐに授業が開始される。
とりあえず必須科目を習った後に旅にでるのが一つの目的。
このままほうっておいて各自の対応と反応を見極めるか。
それともさくっと片づけるか。
一番いいのは一度大規模な災害なり、争い等が起これば【悪意】をこれ以上広げることもないであろう。
今は平和であるがゆえにどうしてもよからぬことを考えるものたちがでてきているのは一目瞭然。
ならばこのあたりですこしはお灸をすえても問題ない。
「代替わりまでどうにかしとかないと。それこそ余波でほとんどの生命体が危険になるしなぁ~」
それは確信。
それでなくても【次代】が生まれたときの余波ですら大規模な災害がおこった。
…まさかそのままあれが直撃する、とはおもってもいなかったが……
所詮自分達は【クイーン】の中にて生きているにすぎない。
そしてまた、クイーンもそれ以上の【意思】の一つとして存在しているに過ぎない。
それがわかっているからこそ万全をきしておきたい。
「そういや、大姉様が今度話しがあるとかいってたけど…なんだろ?」
考えていても仕方がない。
ふわり、ふわりとたゆたっていてもどうにもならない。
しぱし【内部】より【外】を眺めつつも、意識を再び外へ。
できうれば、かつてのような判断をしないですむことを望みたい。
しかしそれはすべて【かれら】の行動次第……

「……代替わり?」
何だかものすっごく不安になる言語が伝わってきたのは気のせいか。
おもわずベットに腰かけつつも頭に手をやり再度確認するために問い返す。
あ~、そういえば今日は月がきれいだなぁ。
そんなことをふと思う。
おそらく現実逃避をしたくなるのは自分だけではないはずだ。
それだけは彼とて確信をもっていえる。
『おい。尚人ナオト。現実逃避すなっ!』
きぃんっ。
そんな彼の魂に直接語りかけられるようなその言葉に思わず頭がいたくなる。
「つうかっ!意思から教えられてた代替わりの影響って馬鹿になんなかっただろうがっ!
  そもそも、他のやつら、代替わりのことについてしってるのか!?」
『いや。それとなく調べてみたら知らないみたいだ』
「・・・・・・・・・・・・・・」
おそらく、彼らが知らない、となればまちがいなく、天界、魔界、そして精霊界とも知らない可能性が高い。
否、確実に知らされていない。
そもそも自分達という【存在】はこの【存在】として【創りなおされた】ときにそれらの知識だけは埋め込まれている。
以前、他の意思の元にいったとき、その代替わりのときに恒星ごと消滅した、という話しも聞いている。
「・・・やばくないか?それ?」
『非情にまずい。というかおそらく最近、負の力が増してきているのもそれの影響なんだろう。
  どの【界】にも【意思】がいない、ということは【大地】にいるお前達のほうで意思と連絡とれないのか?』
「むちゃいうな。意思が気配けしてたら誰にもわかるはずないだろ?」
かつての同志であり仲間からの通信。
この存在になる前の名前で呼ばれるなどもはや仲間以外にはありえない。
それほどまでに長い長い時が経過している。
そもそも、意思は世界そのもの。
ゆえにこそこの惑星そのもの、といっても過言でないようなそんな存在をどうやって探し出せ、というのだろうか。
たしかにあの性格からしてどこかに器の姿を模して姿を現している可能性はかなり高い。
というかむしろそれは確定事項。
しかしそれがどこにどのような形で姿を模しているか、などとは当然誰にもわかるはずがない。
「他の伝道師達やつらは?」
『それぞれ連絡中だ。大姉上どのからもその伝達があった』
「…まじかよ……」
は~……
その伝達をきいておもわず盛大にため息がでてしまう。
「……【サン】が動いてる。というのは間違いないようだな……」
『……だな。とりあえず、【アース】を探し出すのが先、だな。
  【マーキュリー】達もおそらく動き出すだろうしな』
なんだかしばらくゆったりしていたのにどうやらこのたびはゆっくりとはできないらしい。
「…わかった。とりあえず近いうちにテミス王国のほうにいくから。それとなく調べてみるわ」
『たのむ。こっちも天界のほうをもうすこし調べてみる。精霊界のほうのやつらもそういってたし』
「わかった」
ふっ。
必要最低限の会話をかわした後に【つながり】を断ち切る。
彼ら…【伝道師】がもちえる能力の一つ、【仲間同士の繋がり】。
彼らは基本、一つの意思のもとにくくられていることからそれぞれが魂の意思のみで会話することが可能。
「…なんだかなぁ~……」
また、もしかしたらたくさんの死をみることになるのかもしれない。
以前、【次代】が誕生したときなどはこの【世界】に巨大隕石が降ってきたらしい。
…その結果、何がおこったのか。
かつて平和な世界でそのとき判っていた世界史を嫌でも習っていたがゆえに知っている。
そしてまた、【魂】となってその光景を直接【視】せられた。
「……ま、ここの【意思】が簡単にくたばる…とはおもわないけどな……」
簡単にあきらめるようならばあのときあんなことはしなかったはず。
そのまま静かに消滅をまったはずである。
【今の理】が成立していることから何らかの手をうってくるのは目にみえている。
「…もしかして、きえたの、このため…か?」
それもあるのであろうが、おそらくは。
依存症がではじめた【やつら】に対するけん制であろう。
このたびの情勢はどうなるのか。
そんなことをおもいつつも空を見上げる。
かつてそこにあったはずの月はかつての月ではない。
今、この世界には【二つの月】が存在している。
ほんとうにここが生まれ育った自分達の惑星なのか?とふと思ってしまう自分がいる。
しかしそのきっかけをつくってしまったのがほかならない自分なわけで……
「あ~。考えてててもしかたねぇ。とりあえず寝よう、ねよう」
考えていてもしかたがない。
それゆえにそのまま布団にもぐりこんで横になる。
王都テミスにいけば何か現状の様子くらいはわかるであろう。
聖なる結界が施されている場所でどのくらいの【負】がたまっているか。
それだけでも見極める必要性がある。
もしかしたら自分達が動く必要性があるかもしれない。
しかしそれはあくまで【指令】が下されたとき。
今日もまたかつての惨劇の光景を反復する夢をみるのであろう。
それでもどこかで平和だったあのときの光景を少しでも思い出したい。
二度と、取り戻せない【普通の人間】であったときの自分の夢を……


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あとがきもどき:
薫:複線さんは当分ださないつもりだったけど、裏設定さんのどうでもよく、かつ重要部分。
  それをいれてみましたv(まてこら
  お話し的にずっと隠しててもいいけど、ヨミテさんがそれを理解しておいたほうが楽、かな?
  とかいろいろとおもったり。
  ま、ここまでかけば主人公の正体が【何】なのか大体私のかくもので予測はつくでしょうが(苦笑<自覚あり
  そろそろ、かつてここが【地球】であったときの名残がちらほらとでてきます。
  ちらっと番外編にもでてきた伝道師のナオト、もだしてみたりv
  大姉上、というのが誰のことなのか、名前だけでわかったひとはすごいですv
  ま、まるわかりではあるでしょうが(ふふふふふv
  あ、そういえば、当然のことごとく、なんで【姫】という言葉をつかわないの?【次代】なんてつかわずに?
  とかおもうかもしれませんけど、ここは当然、菫ちゃん世界なのですv
  だから、彼らにとって【姫】はあくまで菫ちゃんを示すのですよ。感覚的に。
  あ、でもこのお話しには菫ちゃんはでてきませんよ~?というかでてきたら話しが狂う(爆
  ともあれ、次回からようやく学園生活…かな?
  んで、それから旅にでて混乱におちいってゆく世界情勢のお話しをば。
  何はともあれ、ではまた次回にて~♪

2011年2月20日(日)某日

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